歯周病について
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が細菌によって破壊される病気です。長い時間をかけて進行するうえに痛みがほとんどないため、重度になってから気づく方も少なくありません。進行すると歯ぐきの腫れや出血、歯の動揺などの症状が現れ、最終的に歯を失ってしまいます。
歯周病は日本人の5大生活習慣病の1つとされており、30歳以上の成人の約80%が罹患しているとされています。歯周病の進行を予防するためには、自身の状態を把握することが重要です。歯ぐきの赤み、腫れ、歯ブラシ時の歯ぐきからの出血、口臭の悪化などの症状がある場合はお早めにご相談ください。
歯周病の原因
歯周病の主な原因は、歯に付着したプラークの中に存在する細菌です。これらの細菌は一般的に「歯周病菌」と呼ばれ、プラークが放置されることで増殖します。食べカスや飲食物の残りカスがプラークに変化すると、2〜4日で歯肉に炎症を引き起こし始め、1週間ほどで歯肉炎が進行します。歯周病菌は歯が失われるまで存在し続けるため、プラークを適切に除去することが重要です。
歯周病の進行と治療法
歯肉炎
歯肉が軽度の炎症を起こし、腫れや赤みが現れ、時には痛みや歯磨きや食事時の出血が見られることがあります。
治療法
適切な歯磨きやフロスの使用、そして歯科医院でのプロフェッショナルなクリーニングなど、正しい処置と口腔ケアによって、歯肉の軽度な腫れや赤み、痛みや出血などの症状を改善することができます。
軽度歯周炎
歯周病菌によって歯ぐきに炎症が起こり、歯磨きの際に出血しやすくなります。また、歯と歯ぐきの間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができます。歯周ポケットは歯周病が進行するにつれて深くなるため、診断の指標の1つとなっています。軽度歯周炎(歯肉炎)の場合、歯周ポケットの深さは3〜4mmです。
治療法
患者様の口内環境に合わせた適切なブラッシング方法を指導します。正しいブラッシングを継続することで症状の改善が期待できます。また、ブラッシングでは取り除けない歯垢や歯石をスケーラーと呼ばれる器具で除去する「スケーリング」も行います。
中等度歯周炎
顎の骨が溶け始めた段階です。ブラッシング時に歯ぐきから出血しやすく、歯ぐきの腫れや口臭が強くなります。歯周ポケットの深さは5〜6mmと深くなり、歯を押すとぐらつく場合があります。
治療法
スケーリングで歯垢や歯石を徹底的に除去します。しかし、ここまで進行した歯周病は、スケーラーでは歯垢や歯石を除去しきれない場合があります。そこで、キュレットと呼ばれる器具を使用して歯垢や歯石を除去する「ルートプレーニング」を行います。
重度歯周炎
重度歯周炎は、歯槽骨の3分の2以上が溶けた状態です。歯ぐきが下がることで歯が長く見えたり、口臭がより強くなったりします。歯周ポケットの深さは8mm以上で、歯茎や顎の骨が歯を支えられなくなることで自然に抜ける場合もあります。
治療法
重度歯周炎の治療については、当院で対応できないケースもございます。その場合は、連携した歯科医院にご紹介いたします。まずはご相談ください。
歯周病の進行を防ぐために
歯周病の進行を防ぐためには、歯周病菌が含まれる歯垢や歯石を口腔内から除去する必要があります。歯石は歯ブラシでは取り除くことができないため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが重要です。また、歯垢や歯石の蓄積を防ぐためには、正しい口腔ケアが欠かせません。歯科医院でのブラッシング指導を受けて、日々の正しい歯磨きを継続しましょう。
歯周病は初期や中期では痛みを感じにくく、進行が進むとようやく症状が現れることがあります。しかし、自覚症状がないからといって放置することは避けるべきです。定期的に歯科検診を受けることで、歯周病を早期に発見し、早期治療することができます。口腔の健康を維持するために、定期的な検診と早期治療を心がけましょう。